ED治療医の話
糖尿病患者のQOLを向上するためにも
医師から性の問題に踏み込む必要があると思います。
浅間総合病院 診療部部長 仲 元司
男性糖尿病患者の約3割がED治療を希望
男性糖尿病患者さん132名に勃起状態に関するアンケートを実施し、疑いのある患者さんにはIIEF5でEDを判定しました。その結果、66%の患者さんにED症状を認め、有症状者の48%が治療を希望しました。現在、治療希望者のうち虚血性心疾患や重症腎症がない24名がED治療を受けています。性の問題はデリケートな部分があるので、待合室ではなく持ち帰って書き込む場所を自由に選べるアンケート方法にしました。
糖尿病患者のEDを疑う目安は罹病期間5年以上
ED改善によって患者さんの生活に張り合いが出ますから、糖尿病の総合的ケア・QOL向上の意味からもEDを治療するメリットがあると思います。調査結果をみると、ED症状を有する割合は糖尿病の罹病期間が長いほど高いが、HbA1C値との関連性は認められませんでした。そこで、ED合併を疑う目安としては、HbA1C値にかかわらず罹病期間が5年以上の方になろうかと思います。ただし、ED発症原因には神経障害だけでなく動脈硬化も関与しますので、高血圧症や高脂血症を合併する方は5年未満であってもEDが合併する可能性が高いと思います。こうした方には医師の方から「糖尿病ではEDという問題も生じますが、あなたはどうですか」と一言振ってあげると良いと思います。
ED治療によって医師患者の信頼関係が深まることを実感
糖尿病患者さんからは多くの訴えを聞きますが、性に関するものはほとんどありません。性の問題を自ら訴えるのは非常に高いハードルとなるために、諦めている患者さんが多いように思います。そこで、医師の方からこの問題に一歩踏み込むことでハードルを取り去ってあげたいという思いもあり、私はアンケートを実施したのですが「よくぞ聞いていただいた」という患者さんの反応が多いのには本当に驚きました。また、医師から性の問題を切り出したことがきっかけになって、先生は性の問題も含めて体すべてを診てくれるからと、医師と患者の信頼関係が深まることも実感しました。性の問題に医師が一歩踏み込むことにより、通り一遍の5分間診療から一歩進んだ医師患者関係が築かれるように思います。

